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出前授業「表現とコミュニケーション ―人形劇、アニメの表現方法―」<神戸東洋日本語学院>
8月23日、神戸東洋日本語学院にて、出前授業の機会をいただきました。
授業は、未来社会学科 佐々木徹雄 准教授『表現とコミュニケーション ―人形劇、アニメの表現方法―』。
本授業では、ペープサート(紙の人形劇)を中心的な題材として、表現とコミュニケーションについて考えました。
前半の講義部分では、ペープサートの歴史を学びました。
ペープサートとアニメとは、大きな視点で見れば、歴史的に同じ源流を共有している部分があることを見ました。
その一例として、江戸時代後期頃からの芸能である「写し絵」について、仕組みを模してつくった投影機を触りながら、学びました。
また、表現方法の角度から、ペープサートとアニメとを比較して考えてみました。
当然ですが、現代のアニメには、映像だからこそ表現できることがちりばめられています。
対面で演じることを基本とするペープサートには、特有の臨場感があります。
こうした表現方法の違いを考えるために、コロナ禍の影響が強かった時期の、ペープサート劇づくりの授業をオンラインで行った実践について紹介しました。
一人一人の参加者が各自でペープサートの人形を作成し、撮影したペープサートの映像を、合成編集するかたちで、一つの映像作品を作成しました。
そこで明らかになったことは、表現方法が異なれば、参加者が表現の工夫のために改善をしようと注目する点も異なってくるということでした。
例えば、背景。これは映像表現との結びつきが濃い要素でしょう。
技術の進歩は、新しい表現方法を生み出します。
変わらず重要なのは、「面白い作品をつくりたい」「誰かを楽しませたい」という思い、表現意欲であり、そうして生まれる、一人一人が感じるその作品の「意義」なのかもしれません。
休憩時間を挟み、後半の演習部分では、実際にペープサートの人形の実物をつくり、その人形を「おいかけっこ」するように動かしました。
事前の予定では、時間的な制約も考え、全員に「非常口のピクトグラム」の人形を、作成してもらうつもりでした。
しかし、休憩時間のうちに、スマホで書きたいキャラクターのイラストを自主的に調べ始めているなどの参加者の積極的な参加の姿があったため、そのまま好きな絵を「進行方向がわかるように」それぞれが描くようにしました。
そのため、「ピクトグラム」では「進行方向へ走る」ことしか表現されなかったはずでしたが、例えば「タイヤにのって坂を滑る」、「相手を吸い込む」等、より彩り豊かな表現が工夫され、発表されました。
それぞれの人形を描いて、皆で表現を楽しむ時間となりました。
今回の機会をいただいた先生方、そして参加してくれた皆様、ありがとうございました。